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1.中国映画  (05/8/26)
   

中国映画を語るサイトとしては、
単なる、中国映画の作品についての解説だけでなく、
多面的に、中国映画について調べ、
ここに、コラムという形で、記載していきたいと思います。

まずは、中国映画とは何ぞや、という基本的なところからいきます。

当たり前ですが、
中国映画とは、中華人民共和国で作られている映画を指します。

(通常は、香港映画と台湾映画は除いて考えます。)
(現地では、よく「大陸映画」なんて言い方もします。)

中国映画の特徴を、敢えて挙げれば、

1.検閲制度がある。
2.計画経済から、市場経済へ移行中である。
3.国によって保護されている。

の3つかと思います。

それぞれについて、もう少し詳しく言えば、

1.検閲制度

よく、日本で見ることの出来る中国映画に、
「中国国内では上映禁止」とか、
「国に無許可で制作された映画」などと言われることがあります。

これは、中国では、
映画の製作・配給・上映は、許可が必要なためです。
この許可制度の根幹を成しているのが、
国(電影局)による検閲制度です。

具体的には、ひとつの映画に対して、3回の審査が存在し、
(脚本段階・フィルム完成後・最終フィルム完成後)
この審査に合格しない限り、
制作・配給・上映・海外映画祭への出品
ができないようになっています。

この審査も近年かなり改善されました。
(脚本段階での審査が簡素化。また、以前は中央での一括審査でしたが、
現在は、各省で審査可能となりました。)

ただし、それでも、内容によっては、数回の訂正が必要な場合があり、
フィルム完成後、上映不可というリスクも有り得るため、
厳しいものであることは確かです。

また、上映許可されても、
上映後、突然上映不可になる可能性もあります。

なんでこんなに厳しいかというと、
もともと、中国政府にとって、
「映画とは大衆に及ぼす影響が非常に強いメディア」との認識のもと、
建国当初から、イデオロギー政策の重要なツールとして、
使用されてきた背景があります。

(共産党の優位性・正当性の宣伝道具)
(とくに、農村など文盲の人が多い地域で)

そのため、中国にとって、映画とは、娯楽ではなく、まさに、イデオロギーでした。

その他のマスメディアも同様、
一党独裁の社会主義国家にとって、
メディアの管理は極めて重要であり、
そういう意味で、検閲制度はおそらく、今後も存在し続けるでしょう。

※ただし、もうじき、等級制度が開始されます。
これとの絡みで、検閲制度がどのように変化していくかは、興味あるところです。


2.計画経済から、市場経済へ移行中である。

中国映画産業は、他の産業と同様、
1980年以前は、 計画経済体制のもと、運営されてきました。

計画経済体制での、映画とは、具体的には、

国から割り当てられた予算と生産計画のもと、
国営映画制作会社が映画を製作。」

「製作された映画は、国が一括で購入・配給する。」

上映も、同じく国営の映画館が実施。
国営映画館は、国から指定された映画を上映する。」

といった状況です。
当然、この方法では、いずれ停滞が起こります。

そういった中で、1980年初頭から、ケ小平の改革開放経済政策のもと、
映画産業も、徐々に、市場経済型へと切り替わりが進みます。

2005年現在では
民間会社が、独自に、制作・配給・宣伝ができる」ようになり、
また、
「国営企業も、独立採算制になり、独自に資金調達しなければならない」など、
事実上、市場経済と変わりなくなっています。

ただ、ところどころ、計画経済の名残が残っています。
当然、雇用の多くを支えているのは、依然国営企業ですし、

独自に、製作・配給可能な民間会社は、条件付の許認可制で、まだ
一部の会社にしか開放されていませんし、
一部の国営企業では、いまだ国家予算で映画を製作しています。


3.国によって保護されている。

いわゆる、
外資の脅威から守り、国家予算によるサポートをし、
国内産業を保護・
育成をしている。

ことなどをさします。

これもまた他の産業にいえることですが、改革開放経済のもと、
中国映画産業も、
外資の資本とノウハウを吸収しながら、
また、外資による外的なインパクトを利用しながら、
産業の発展・新陳代謝・構造転換を遂げようとしています。

ただし、いきなり外資の脅威にさらされますと、
貧弱な国内資本・国内企業が逆に衰退してしまいますので、
国内企業を保護しながら、
同時に、うまく外資の資本とノウハウを吸収しながら、
国内産業を成長させようとしている
というのが、現在の中国映画産業といえます。

なぜ、外資の力が必要かというと、
計画経済のもと、
企業努力を怠ってきた国営企業(中国国産映画産業)は、
非効率化・停滞・競争力低下しています。

そこにきて、1980年代から始まったテレビの普及、
90年代からの海賊版VCD・DVDの氾濫で、
興行収入は急降下。

国家予算だけでは、とても、この巨大産業を支えることができなくなり、
中国映画は、かつてない危機に襲われました。

※詳しくは、「数字で見る中国映画」へ

また、国家政策としての、WTO加盟・中国市場開放は、
中国映画産業にとって、ハリウッド映画の脅威にされされるという
これまた、まったなしの問題に直面することになります。

こうした中で、
過剰老朽設備・過剰労働力を抱えたままの国営企業の
早急な改善は、非常に難しく、

また、それを補うべき、民間会社ががんばっていますが、
その力だけで、迅速に、産業全体を好転されるには、
まだまだ力不足であり、
そこで、期待されたのが、外資による資金とノウハウです。

中国映画産業も、2003年、国内での、制作・配給・上映に対して、
外資の参入が許可されました。

ただし、外資独立での参入は不可、
必ず、国内企業との合弁が義務付けられているなど、
厳しい規制は存在します。

また、外資の参入といっても、3つのパターンがあります。

@中国大陸を狙ったタイプ
(中国を将来の巨大市場として捉え、現地で投資・製作するタイプ)

※製作・配給・上映、すべてにわたっていえます。いわゆる合作。

A生産拠点として、中国を利用するタイプ
(安い人件費に目をつけ、現地中国企業を外注工区として利用、
海外向け映画を制作するタイプ)
(ハリウッド映画、「キルビル」などは、まさにこのタイプ)
(協力製作)

B自国映画を、中国国内に売るタイプ
(いわゆる、ハリウッド映画などの、中国販促)

上記@Aに対しては、規制はあるものの、数量的な規制はありません。
唯一、Bに対しては、厳しい規制をしています。

海外映画を輸入できる窓口は、ひとつ。国営企業(中国電影集団)のみです。
年間輸入数量も、2004年現在、20本となっています。

(01年WTO加盟に伴い、99年、アメリカの圧力のもと、
ようやく、海外映画を一定量、輸入することに合意したばかりです。)

さらに、上映に対しても、規制があります。
各映画館は、海外映画上映時間が、
総上映時間の3分の1を超えないようにということになっています。

※これだけの規制をしても、
海外映画=ハリウッド映画が、中国映画市場で、猛威を振るっていることは
確かです。詳しくは、数字で見る中国映画へ。

簡単なまとめをしますと、

中国映画は、基本的に、他の産業と同じと言えます。

(製造業・流通業などと同様、民間と外資の力を使い、急速な発展を遂げる)
(ただ、ソフト産業のため、人件費の安さを利用した、輸出・外貨獲得はできませんが)

ただ、映画がマスメディアであること、党の思想政策の重要な一翼を
担ってきたこと、等から、他の産業とは違う特殊な面も存在しているとも言えます。

 

◆参考文献
新中国電影史  尹鴻・凌燕  湖南美術出版社
「文化研究」尹鴻さんの論文参照
中国民営影視企業現状與発展 中国電影家協会編 中国電影出版社

 
   
     
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